プロペシアは、世界60ヶ国以上でAGA治療薬として承認されている飲み薬です。
日本では2005年に販売開始され、今でも薄毛治療の第一選択薬として使用されています。
今回はそんなプロペシアの効果や副作用、飲み方などの情報を分かりやすくまとめていきます。
プロペシアの効果
プロペシアは、5αリダクターゼ阻害剤と呼ばれる種類の治療薬です。
名前の通り、AGA(男性型脱毛症)の発症に関わる5αリダクターゼ-2型の働きを阻害することで、薄毛や抜け毛の改善効果を発揮します。
AGAはなぜ発症するのか、その原因となる物質がジヒドロテストステロンと呼ばれる男性ホルモンです。
ジヒドロテストステロンは、これまた男性ホルモンの1種であるテストステロンと5αリダクターゼが結びつくことで発生します。
髪の毛は通常であれば2~6年間ほど成長を続けた後、自然に抜け落ち、また新たに生えてきます。
このように髪の毛が生え変わるサイクルを「ヘアサイクル」と呼びます。
しかしジヒドロテストステロンによりAGAを発症すると、髪の毛の成長が妨げられてしまいます。
多くの髪の毛が十分に成長できないまま抜けてしまうため、薄毛が進行するのです。
そこでプロペシアは5αリダクターゼを阻害することで、ジヒドロテストステロンの生成を防ぎます。
ジヒドロテストステロンが抑えられることでヘアサイクルも改善し、薄毛や抜け毛が少しずつ改善されていくのです。
効果が出てくるまでの期間
プロペシアは、飲み始めてからすぐに効果が現れる治療薬ではありません。
通常は効果を実感できるまで6ヶ月、早い方でも3ヶ月は服用を続ける必要があります。
またプロペシアの服用により薄毛や抜け毛の改善が見られた場合でも、その効果を維持するためにはプロペシアを飲み続けなくてはなりません。
プロペシアの臨床試験結果
プロペシアを開発したMSD社では、その有効性を確かめるために20歳~50歳の男性を対象とした臨床試験を行っています。
臨床試験では対象者の男性にプロペシアを1日1回1錠、1~3年間の服用を続けてもらったところ、次のような結果になりました。
服用期間 | 改善 | 維持 | 進行 |
---|---|---|---|
1年 | 58% | 40% | 2% |
2年 | 68% | 31% | 1% |
3年 | 78% | 20% | 2% |
※改善…抜け毛が減り、髪の毛も増えた
※維持…抜け毛が減り、薄毛の進行が止まった
※進行…薄毛の進行が止まらなかった
臨床試験の結果を見ると、プロペシアを服用した約98%の男性においてAGAの進行予防の効果が確認されています。
この結果から、プロペシアは多くの男性において効果が期待できる治療薬であることが分かります。
また服用期間が長ければ長いほど、AGAが改善された方の割合も多くなっています。
プロペシアはあくまでも抜け毛予防薬
プロペシアはAGAに対する高い有効性があり、世界中の国々で使用されているAGA治療薬です。
しかしプロペシアの添付文書を見ると、効果・効能の項目には「男性型脱毛症の進行遅延」と書かれています。
プロペシアは高い有効性があると言っても、服用を続ける中で大きな改善が見られた(=髪の毛が増えた)方の割合はあまり多くありません。
実際のところ、プロペシアを服用した方の大部分は薄毛の進行が止まり、髪の毛の現状維持ができた程度です。
つまりプロペシアは”髪の毛が生える”薬ではなくて、あくまでも”抜け毛を抑える”薬だと認識しておくことが大切です。
プロペシアが効かない場合
プロペシアを服用しても効果が現れなかった場合、2つの対処方法があります。
- ミノキシジルを併用する
- ザガーロに切り替える
プロペシアは抜け毛を予防する効果は高いですが、発毛させる効果は認められていません。
そこで発毛効果が認可されているミノキシジルを併用することで、プロペシアの効果をカバーすることができます。
またプロペシアは5αリダクターゼの2型を阻害するAGA治療薬ですが、5αリダクターゼには1型・2型の2種類があります。
プロペシアは5αリダクターゼの2型は阻害できても、1型には効き目がないのです。
そのため5αリダクターゼの1型・2型の両方を阻害でき、プロペシア以上の効果を認められているザガーロに切り替えるという手段もあります。
プロペシアの副作用
日本国内で行われた臨床試験では、1年間において4%(276例中11例)に副作用が報告されています。
主に、性機能に関する副作用でした。
ED(勃起不全) 0.7%(2例)
ただしこうした性機能に関する症状は、プロペシアを全く飲んでいない方でも起こりうるものです。
“プロペシアが性機能の副作用を引き起こした”とも限らないので、気にしすぎは禁物です。
プロペシアの飲み方
プロペシアの飲み方は、次のように定められています。
すぐに効果が現れる薬ではないので、”とりあえずプロペシアを試してみたい”という方でも最低半年ほどは服用を継続するようにしてください。
プロペシアを飲むタイミングは?
プロペシアは、食事の影響を受けません。
そのため食前・食後、また朝・昼・夜などは関係なく好きなタイミングに服用しても問題はありません。
しかし飲み忘れを防ぐためにも、毎日同じ時間帯に飲むことでプロペシアの服用を習慣化することがおすすめです。
もしも飲み忘れてしまったら?
もしもプロペシアを飲み忘れてしまった場合、翌日に飲む量を増やす必要はありません。
忘れた日の分は服用をやめて、また次の日から欠かさずにプロペシアを飲むようにしてください。
プロペシアの併用禁忌薬や注意薬
プロペシアには併用してはいけない薬や、併用に注意が必要な薬については報告されていません。
もしも現在服用中の薬があったとしても、プロペシアは何の問題もなく併用することができます。
プロペシアを服用できない人
次に当てはまる方は、プロペシアを服用することはできません。
- プロペシアの成分フィナステリドにアレルギーの既往歴がある人
- 女性
- 未成年
女性や未成年の方に対しては、プロペシアの有効性や安全性が確立されていません。
あくまでも、AGAに悩む成人男性にのみ適応がある薄毛治療薬です。
特に妊娠中・授乳中の女性においては、プロペシアの取り扱いにも注意が必要です。
プロペシアの成分は、男子胎児の生殖器官の発達に影響を及ぼす恐れがあります。
参考文献
こちらのページは、下記サイトを参考にして制作しています。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051088
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf